ひとのこのこのこならたんたん
旅人 出待ち柳
※注意 先のページで晩秋旅行記を執筆した出待ち柳です。一部文にて公式旅行の記事とテンションが違いすぎていて温度差がすごいですが、気にせずにお読みください……
昨年の8月末、今はもう一部の鉄道旅狂いしか使わない、改あkリニューアル前の青春18きっぷを携え、関西方面へ3泊5日の鈍行列車の旅を遂行しました。
目次の中で殊に異様なタイトルからもう察しが付いている方もいらっしゃるかと思いますが、旅の一番の目的は…
昨年夏クールに放映され、放映前には狂気のOPイントロ1時間耐久動画を公式が公開し、ネットで脅威的にバズったTVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』。アニメ化前から漫画版を読んでおり、その支離滅裂で不条理なギャグ展開に心は釘付けに。アニメも毎話心待ちにして観ていましたが、観ていく内に「奈良のシカに会いたい!!!」という気持ちがどうにも抑えられなくなり、当時ノロノロ台風10号の予報が出ていたにも関わらず、「4日間ならまぁギリギリ行けるやろ…」とこの旅行を強行しました(9月中旬には5日間の地理巡検があったため日程はずらせず…)。
というわけで、今回もお馴染みの限界旅行になってしまったわけですが、順に旅程を振り返っていきますので、少しの間お付き合いください。
最寄りの牛久駅から旅はスタート。1日目は牛久から奈良までひたすら在来線の普通列車で駆け抜けます。本当は途中で「長泉なめり駅」の駅名標を撮って「長泉であるようだ(伝聞推定)」とかいうネタツイートをするためだけに御殿場線に乗ろうと思っていましたが、ちょっと寝坊して1時間ほど出発が遅れてしまったため、寄り道は無しに。そうなってくると避けられないのが、ヘルエs静岡名物・地獄のロングシート3時間耐久。実は箱根の関を越えた一人旅は今回が初めてで、18キッパーなら一度はこの地獄を体験してどれだけの辛さかを知っておきたいと思い、特に対策もせずヘルエスタ静岡へ突入することにしました。実際には静岡-浜松間だけ新幹線に課金したり、ホームライナーや373系が使用される普通列車に乗ったりと静岡に拘束される時間を減らす方法はあるみたいですね。結局乗り通しましたが、本を読んだりスマホを見たりしていたら2時間くらいは潰せました。流石に掛川あたりから「長いな…」と思い始め、車窓を眺めていましたが…
※注意 先のページで晩秋旅行記を執筆した出待ち柳です。一部文にて公式旅行の記事とテンションが違いすぎていて温度差がすごいですが、気にせずにお読みください……
昨年の8月末、
目次の中で殊に異様なタイトルからもう察しが付いている方もいらっしゃるかと思いますが、旅の一番の目的は…
奈良公園のシカ!!!!!
というわけで、今回もお馴染みの限界旅行になってしまったわけですが、順に旅程を振り返っていきますので、少しの間お付き合いください。
最寄りの牛久駅から旅はスタート。1日目は牛久から奈良までひたすら在来線の普通列車で駆け抜けます。本当は途中で

地獄の始まり・熱海駅
(313系ロングシート車)
(313系ロングシート車)
約3時間乗り通してやっと浜松へ。ちょうどお昼時だったので、駅ビルの中にあった浜松餃子を提供するお店でランチを堪能しました。流石餃子消費量全国1位の浜松市(統計局2024年家計調査より)、レベルの高い合格点を超える餃子をオールウェイズ出してくれる…!甘いキャベツと豚肉が入った餃子は薄めの皮ながらもっちりとしており、噛みしめるごとに甘みのある肉汁があふれ出してきて、特製の酢醤油と絡んで美味しいことこの上なし!浜松餃子は円盤状に盛り付けられた中央にもやしが添えられているものが定番で、筆者が頼んだ餃子定食にもしっかりもやしが添えられていました。さっぱりしていてお口直しにもなりそうです。同じく浜松の名産・三ヶ日みかんを使ったジュースもいただきました。日照時間が長いためかやはり甘い。

豊橋行きに乗り換えてちょっと行くと浜名湖が見えてきました。浜名湖と言えばうなぎの名産地として有名で、昼食もうなぎか餃子かでだいぶ悩んだのですが流石に安さを優先して後者に。こういう一人旅だと「せっかく遠くへ来たんだから…!」と財布のひもが緩くなりがちになりますよね…調子に乗りすぎず適度に贅沢しましょう。天竜浜名湖鉄道との乗り換え駅・新所原駅では、アニメ『ゆるキャン△』とコラボしたラッピング列車に遭遇しました。主な聖地は山梨の身延町ですが、確か浜松もキャンプへ行った場所として聖地になっていたと思います。アニメ第4期の制作が決定済みということなのでとても楽しみですね~


浜名湖と天浜線・ゆるキャン△ラッピング列車
新快速に乗ってちょっと仮眠をとったらあっという間に名古屋へ到着。名古屋で関西本線に乗り換えるのですが、時間に余裕があったため、隣の八田駅まで並行する名古屋市交通局東山線を乗り潰ししました(実際には起点の高畑駅まで乗車)。座席がTXとは違ってとてもふかふかでした。JRの八田駅は業務委託駅でありながら無人の時間帯で有人改札が存在せず、18きっぷで自動改札機を通れるのか心配になりましたが、改札の扉が無いためそのまま通り抜けができました。何かしらエラーがあっても強行突破できちゃうじゃんとか、今の改悪版18きっぷなら何も気にせず改札にきっぷを入れて通り抜けできるのかあとか思いながら、関西本線をひたすら西へ。


東山線5050形(高畑駅)と八田駅駅舎
木曽三川を渡るころには雲行きが怪しくなり、四日市あたりで土砂降りになりました。多分台風のせいでしょうが、もうここまで来てしまったからには気にせずさらに行きます。亀山で乗り換えたころにはなんとか雨がやみました。ここから加茂駅まではJR西日本屈指の閑散区間として有名で、悪い線形、非電化、単線、急勾配、シカなどの獣が線路内に立ち入って度々運転見合わせになることなどで、もはや幹線としての役割は並行する近鉄に取られてしまった区間です。やってきたのはワンマン2両のキハ120系。曇り空でも紫の車両がよく映える。1両目から出入りし、車内は普通の部屋にあるようなカーテンがかけられていて、草津市の中学のバスケ部員が部活帰りに多く利用していました。多くが柘植駅で乗り換えていったので、こんな山の中でも意外と日常利用もされているのか…?


[左画像]揖斐川(左)と長良川(右) [右画像]キハ120系(亀山駅)
加茂駅に着くころには真っ暗になっていて、後は大和路快速にちょっと乗って今日の目的地・奈良へ到着。しかのこ12話でまさかの登場をした例の鹿男がお出迎え。宿は1日目だけ取っており、奈良駅から15分ほど歩いた場所にある「はる家 ならまち」という宿に素泊まりしました。国登録有形文化財の築100年の木造建築を使用した1つ星ホテルなのにもかかわらず、素泊まりということでネット予約では3000円も掛かりませんでした。内心大丈夫か心配していましたが、WI-FIやコンセント、冷暖房、シャワールームなどはしっかり設備されていて、共用のドミトリーながら入り口のキーやロッカーもありセキュリティ面も十分。チェックインでスタッフの方とのやりとりが無いという珍しい特徴があり、門限は無く、朝がゆのサービスもありました。昔ながらの町家で一泊するという貴重な体験ができて、リピートはもちろん、もっと上のレベルの部屋にも泊まりたくなるような最高の宿でした。



はる家 ならまちの外観(左)とロビーの内装(右)
2日目の朝一に荷物を置いて奈良公園へ直行。公園前の交差点で遂に見たかった光景が。
「シ、シカだぁぁあ~~~!!!」

思わずのこたんが同じクラスにやってきた時のこしたんと同じ声を上げてしまいました…のほほんと佇まっているシカしかいない。まさにパラダイス。シカが道を塞いで車が止まっている様子も見られました。周りのことなど何も考えずに自由気ままに動いているシカ。コレだよコレ、見たかったのは…!奈良公園に来たのは中学の修学旅行以来でその時はシカに対してこれといった感情は無かったですが、その時とはワケが違う。あちらこちらに落ちているフンなんか気にならないし、ずっと居たい…公園付近はシカだらけなこともあって、近くのコンビニにシカせんべいが売られていたり、シカ飛び出し注意の看板があったりと色々面白いものも見られました。





「シカ、しかのこだよ」
奈良公園にはまた後ほど行くのですが、一旦宿に荷物を取りに戻ってならまちエリアを散策します。筆者が小・中学生だったころに書道を習っていたこともあって、文化勲章を受章した奈良出身の書道家・杉岡華邨の作品が展示されている奈良市杉岡華邨書道美術館に少し来訪。特に芸術専門学群の書専攻でもなく、書の鑑賞の経験も無いので、杉岡華邨は初めて知りましたが、かな書でよく知られているようで、墨色の濃淡や字の配置、立体的な造形などの表現が凄かったです(小並感)。


奈良市杉岡華邨書道美術館
続いて世界文化遺産「古都奈良の文化財」の構成要素である元興寺にもちょっと立ち寄り。奈良と言えば、大仏のある東大寺や聖徳太子が建築した法隆寺が有名で、元興寺って何かあるの?と思われがちですが、元興寺は蘇我馬子が建てた日本最古の本格寺院とされています。当時は広大な「ならまち」エリア一帯がすべて元興寺の領地で、奈良時代から強大な信仰が集まっていたそうです。筆者は比文の日本文学の授業で『元興寺縁起』を扱ったことで元興寺を知りました。また、蘇我氏と物部氏の宗教戦争にも関わってくることから、弾幕シューティングゲームの東方Projectシリーズ『東方神霊廟』の元ネタ的聖地としても知られます。受付のおじさんと話す機会があって、筑波大から来ましたと伝えると、「元興寺も世界遺産なんだけど東大寺などに比べて地味なのか観光客があまり来ないんだよ~でも意外とすごい場所だから筑波大の同級生にもおすすめしてあげて」と言われました。というわけで少しおすすめポイントをご紹介します。

まず国宝にもなっている本堂(極楽堂)の中には、ご本尊の智光曼荼羅(ちこうまんだら)が祀られており、奈良時代の僧・智光が夢で見た極楽浄土が描かれています。堂内は撮影禁止なのでそのままお伝えできませんが、厨子に入った曼荼羅はとても荘厳で見事なものでした。続いて隣にある法輪館には、これまた国宝の五重小塔が展示されており、現存しない五重塔の創建当時の姿を知ることができる貴重なものです。その他にも聖徳太子立像や阿弥陀如来坐像など、様々な文化財が安置されていたり、2階には元興寺の歴史を伝えるパネル展示があったりします。そして本堂の禅室を外の裏手から見ると、屋根に色の付いた丸みを帯びた瓦が敷かれているのが見えます。これは行基葺きの丸瓦と呼ばれ、なんと飛鳥時代に作られた日本最古のものが一部現存して残っているそうです。元興寺は度重なる罹災によって焼け落ちたこともあるのですが、瓦だけでも当時のまま残っているのはすごいですよね。


元興寺極楽堂(左)と日本最古の瓦屋根(行基葺き)(右)
ちょっと真面目な文章が続きましたが、ここからまたはっちゃけます。シカにシカせんべいをあげるために奈良公園へ。朝行った時はお土産屋も開いていなかったので観光客はまばらでしたが、お昼時に行ったら公園内はインバウンド客ですごいことすごいこと。シカせんべいは10枚300円で売られっており、おばちゃんが売っているすぐそばでシカが狙ってい居る光景も見られました。いざあげようとしたらもの凄い食いつき…!毎日毎日観光客にたくさんあげてもらっているはずですが、シカ達はよく飽きないですよねぇ。シカにとってはどれだけ美味しいのだろうか…ちなみに筆者はチャレンジ精神のある修学旅行生みたいに食べることはしませんでした。人間には段ボール紙のような味がするそう。1枚ずつ別のシカにあげようとしたのですが、シカせんべいを持っているだけで追いかけ回され、終いにはシカに小突かれました…それでも愛くるしい。もっとシカと戯れたかったのですが旅程ではここから大阪に向かうため、涙ながらに奈良公園を後に。



まだまだ旅は続きますが、尺の関係上、ここで一旦記事を中断します。後半を書く時間があれば次号につづく、はず……