「尾瀬夜行23:45」で輪行してみた
旅人 タビテ・ツクバ
「WEST EXPRESS 銀河」、特急「アルプス」、そしてJR東日本の夜行列車計画……。いずれも近年の新たな夜行列車である。しかし、2010年代まで夜行列車は減少し続けていた。寝台特急「あけぼの」、「北斗星」、「カシオペア」、快速「ムーンライト」シリーズ……。いずれも筆者の大学入学以前に消えていったものたちである。
「サンライズ出雲・瀬戸」はこのような期間でも唯一定期運行を続けていたが、もう一つ私鉄唯一の夜行列車として毎シーズン運行されてきた列車がある。東武鉄道の「尾瀬夜行23:45」である。夏季週末の浅草駅を夜に出発し、会津高原尾瀬口駅(福島県)に向かい、尾瀬への連絡バスに乗り継ぐ、片道だけの尾瀬観光客向け列車だ(ちなみに冬季はスキー客向けに「スノーパル23:45」がある)。乗車するためには、列車の乗車券・連絡バス乗車券がセットになった東武トップツアーズのクーポンが必要である。そのため、臨時列車でありながら団体列車であるともいえる。
この夜行列車に乗ることは数年間考えてきた。ただ、登山を嗜まない自分にとって、この列車に乗るのはハードルが高い。2020 年から、バスや遊覧船を乗り継ぎ、浦佐駅(新潟県)まで抜けられるオプションルートが新設されたが、浦佐駅に着くのが午後といささか時間がかかる。尾瀬への連絡バスの権利を放棄して、会津高原尾瀬口駅からそのまま会津若松へ抜けたという旅行記も存在したが……。
「WEST EXPRESS 銀河」、特急「アルプス」、そしてJR東日本の夜行列車計画……。いずれも近年の新たな夜行列車である。しかし、2010年代まで夜行列車は減少し続けていた。寝台特急「あけぼの」、「北斗星」、「カシオペア」、快速「ムーンライト」シリーズ……。いずれも筆者の大学入学以前に消えていったものたちである。
「サンライズ出雲・瀬戸」はこのような期間でも唯一定期運行を続けていたが、もう一つ私鉄唯一の夜行列車として毎シーズン運行されてきた列車がある。東武鉄道の「尾瀬夜行23:45」である。夏季週末の浅草駅を夜に出発し、会津高原尾瀬口駅(福島県)に向かい、尾瀬への連絡バスに乗り継ぐ、片道だけの尾瀬観光客向け列車だ(ちなみに冬季はスキー客向けに「スノーパル23:45」がある)。乗車するためには、列車の乗車券・連絡バス乗車券がセットになった東武トップツアーズのクーポンが必要である。そのため、臨時列車でありながら団体列車であるともいえる。
この夜行列車に乗ることは数年間考えてきた。ただ、登山を嗜まない自分にとって、この列車に乗るのはハードルが高い。2020 年から、バスや遊覧船を乗り継ぎ、浦佐駅(新潟県)まで抜けられるオプションルートが新設されたが、浦佐駅に着くのが午後といささか時間がかかる。尾瀬への連絡バスの権利を放棄して、会津高原尾瀬口駅からそのまま会津若松へ抜けたという旅行記も存在したが……。
東武鉄道夜行列車の歴史は長い
「尾瀬夜行」表示の東武特急リバティ
7 月某日、日付が変わるまであと30分というところ、筆者は駅の待合室の椅子に腰かけていた。場所は東武鉄道の浅草駅。周りを見ると、長袖長ズボンに大きなリュックと重装備の人が多い。そう、尾瀬夜行の乗客である。尾瀬のハイキングや登山に適した服装だといえる。ところが、そうした人々に比べると筆者は明らかに軽装である。そして大きな”荷物”を抱えている。
入線してきた東武特急のリバティ車両に乗り込む。大きな”荷物”を荷物置き場に固定し、自分の席へ。今回は「ゆったり2座席利用」プラン。窓側座席にリュックを置き、枕にする。通路にはみ出さないよう足を斜めに伸ばす。アイマスクと耳栓をして早々に就寝体制に。明日の朝は早いのだ。23時45分、リバティ車両は浅草駅を後にした。
目が覚めてアイマスクを取ると、すでに終点の会津高原尾瀬口駅に到着していた。会津高原尾瀬口着は3時08分。乗客は4時30分まで車内で待機できる。さすがに「サンライズ出雲・瀬戸」のように完全に横になって休めるわけではないので、少々疲れは残るが充分活動できる。4時30分になると車内放送がかかり、駅前のバス停に移動するよう促される。
5 時前になると2台のバスがやってきた。バスのトランクに大きな”荷物”を入れ、バスに乗り込む。「途中で降りたい方は場所を教えてください。ルート上ならどこでも可能ですので」このように運転手さんが言ってくれたので、「内川」を指定してみた。本来の最初のバス停留所「駒ケ岳登山口」から20km手前の位置である。事前に問い合わせたところ、「指定停留所以外では下車できない」とのことだったのでダメもとである。ところが、親切にも会津バスの運転手さんは受け入れてくださり、5時40分ごろ「内川」で下車した。
入線してきた東武特急のリバティ車両に乗り込む。大きな”荷物”を荷物置き場に固定し、自分の席へ。今回は「ゆったり2座席利用」プラン。窓側座席にリュックを置き、枕にする。通路にはみ出さないよう足を斜めに伸ばす。アイマスクと耳栓をして早々に就寝体制に。明日の朝は早いのだ。23時45分、リバティ車両は浅草駅を後にした。
目が覚めてアイマスクを取ると、すでに終点の会津高原尾瀬口駅に到着していた。会津高原尾瀬口着は3時08分。乗客は4時30分まで車内で待機できる。さすがに「サンライズ出雲・瀬戸」のように完全に横になって休めるわけではないので、少々疲れは残るが充分活動できる。4時30分になると車内放送がかかり、駅前のバス停に移動するよう促される。
5 時前になると2台のバスがやってきた。バスのトランクに大きな”荷物”を入れ、バスに乗り込む。「途中で降りたい方は場所を教えてください。ルート上ならどこでも可能ですので」このように運転手さんが言ってくれたので、「内川」を指定してみた。本来の最初のバス停留所「駒ケ岳登山口」から20km手前の位置である。事前に問い合わせたところ、「指定停留所以外では下車できない」とのことだったのでダメもとである。ところが、親切にも会津バスの運転手さんは受け入れてくださり、5時40分ごろ「内川」で下車した。
内川バス停を去る連絡バス
「内川」で下車した筆者は、列車とバスに積んできた大きな”荷物”を展開する。この”荷物”の正体は折りたたみ自転車。筆者の算段はこうだ。尾瀬夜行と専用バスで「内川」または「駒ケ岳登山口」まで輪行(※)する。「駒ケ岳登山口」・「内川」から只見駅までは川に沿って緩やかな下りが延々と続く。そこを折りたたみ自転車で駆け下るのだ。そうして只見駅9 時30分発の只見線列車に乗れば、午前中のうちに新潟県へ抜けることが可能になる。
さあ、あとは只見駅まで自転車で駆け抜けるだけだ。いくら緩やかな下り坂とはいえ、40km の道のりだ。暑くならないうちに走破してしまおう。
さあ、あとは只見駅まで自転車で駆け抜けるだけだ。いくら緩やかな下り坂とはいえ、40km の道のりだ。暑くならないうちに走破してしまおう。
尾瀬夜行23:45を活用した輪行計画
※輪行:自転車を専用の袋に収納し、公共交通機関を使って運搬・移動すること。今回、尾瀬夜行23:45で輪行という前例はなかったので、東武トップツアーズに事前確認を行ったうえで実施している。
旅人キドリ 2025年雙峰祭号
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