感染症等に伴う緊急事態宣言発令下でのサークル活動について  

公開日 2020年4月13日

更新日 2021年12月20日

現在、新型コロナウイルス(以下新型コロナウイルスと称する)によるパンデミックを受け、部活動の自粛が求められています。3月10日付で春季休業期間中の課外活動におけるイベント・集会・合宿の延期・中止要請が学生担当副学長から出ており(現在延長期間中)、4月2日付で茨城県知事により4月10日までの外出自粛要請が出ています。しかし、現在の状況は当時よりかなり悪化しており、日本国内でのパンデミックも秒読みであるのが現状です。ちなみに東京大学では4月7日付けで活動制限指針をレベル3に引き上げ、課外活動は引き続き全面禁止となっています。

密閉・密集・密接を避けるようにという標語が日本中に掲げられていますが、これらが揃った場合感染拡大のリスクが高まるということで、これらを避ければまったく感染しないとは言っていません。あるシミュレーションでは行動量を4割にまで制限しなければ医療崩壊が起き、しかも1%でも行動量を自粛しない人が現れると感染予防の効果が大きく損なわれるという悲惨なものも出ています。(1)

常に最悪の状況を考え、不要な外出や集会は極力避けてください。お願いします。

(1)東京大学理学部生物学科 生物学科学科長ご挨拶 令和2年4月1日 東京大学・理学部生物学科学科長 塚谷 裕一

国内の感染状況

4月11日現在、感染者が確認されていない都道府県は岩手県のみとなっています。(NHK 特設サイト 新型コロナウイルス 都道府県別の感染者数より 4月11日15字13分閲覧)これだけを見るとまるで全国隅々まで感染が広まっておりもう関係ないように思われるかもしれませんが、そんなわけではありません。たとえば沖縄県での感染者は沖縄本島に集中しており、(1)離島にはまだ感染が到来していないことがうかがえます。このような状況のため、各島の自治体からは来島を自粛するように次々に呼びかけが出ています。佐渡市の来島自粛要請(2)、沖縄・多良間村での来島中止要請(3)、奄美大島五市町村・徳之島・与論島などの首長らによる来島自粛要請(4)、小笠原村観光協会による来島自粛のお願い(5)などがあげられます(4月9日以前に関してはritokei トピックス 新型コロナに関する島々からの渡島自粛要請まとめ 離島経済新聞社・4月9日 等を参照のこと)

(1)沖縄県ホームページ 沖縄県における新型コロナウイルス感染症発生状況 令和二年四月十日情報より

(2)新潟日報 4月9日22:04投稿

(3)4月11日14:18日投稿、琉球新報より

(4)4月11日 南海日日新聞より

(5)4月6日、小笠原村観光協会ホームページ

なぜ来島自粛が行われているのか

新型コロナウイルス感染症が悪化した際、生命維持のために体外式膜型人工肺(ECMO)などといった高度な医療機器が必要です。ところが離島の医療機関は診療所レベルであることが多く、もし病院があったとしてもこうした機器があるとは限りませんし、新型コロナウイルスが蔓延した際に対応をとるほどの設備はまずないといえます。他島の施設に運ぶにしても気管挿管からECMOが必要になるまでの重症化速度が速い(1)ことから難しいでしょう。(維持費が高く人口が少ない自治体には見合わない。先進国での一年間のECMOが必要な症例は100万人当たり3~4例しかないといわれている(2))。

島内で感染が広まった際は助かるいのちも救えない状況が発生するでしょう。その為にはまず、「ウイルスを島に持ち込まない」ことが重要といえます。特に今回のコロナウイルス感染症の場合、陽性であっても無症状の患者が8割を占める一方で、1割から2割の患者は重症化し、致死的になります。また、無症状でも重症患者と同等のウイルスを排出することから、無症状が媒介者となる可能性は高いです。そのため、症状がないから大丈夫だと感染がまだ発生していない場所に行くことはすべきではありません。島を今回例に挙げましたが、野生動物研究会が行くようなへき地ではこの問題は常に付きまとうことを忘れないでください。

(1)COVID-19の臨床的特徴 ⽇本COVID-19対策ECMOnet ⽇本集中治療医学会・⽇本救急医学会・⽇本呼吸療法医学会 2020年3⽉5⽇ 第1版 2020年3⽉8⽇ 第2版 2020年3⽉22⽇ 第3版より

(2)特集 進化した呼吸管理 Topics6  ECMO  竹田 晋浩 日本呼吸学会雑誌 3(6)2014

ECMOを要した患者での予後の例 ECMO⽣存離脱率67%、⼈⼯呼吸器離脱44%、⼊院期間中央値 29⽇)(COVID-19の臨床的特徴 ⽇本COVID-19対策ECMOnet ⽇本集中治療医学会・⽇本救急医学会・⽇本呼吸療法医学会 2020年3⽉5⽇ 第1版 2020年3⽉8⽇ 第2版 2020年3⽉22⽇ 第3版より)

いつまで自粛すべきか

現状では感染を収束させた国は中国だけであるといえ、現在進行形で事態が進行しています。日本における感染は現在増加中であり、しかも現行の新型インフルエンザ等対策特別措置法では外出制限を破っても罰則がないため、欧米各国のように都市での封じ込め策を講ずることはできません。つまり、日本での感染拡大は欧米諸国より長引くと私は推測しています。緊急事態宣言が解除されるのがいつなのか私は知りませんが、緊急事態宣言の解除はあくまでも自粛解除の必要条件であり、十分条件ではないべきです。実際の状況をよく見て判断することが必要です。

また、流行が収束したのちも離島などで新型コロナウイルス感染症が再燃する可能性は十分あり、再燃した場合は大変なことになるのは忘れないでください。全島民が免疫を持たない島に感染の可能性が疑われる人が行くことは、無人島にネコを放つのと同じです。終息後も離島に行く際には体調管理と検温を行ってから行ってほしいと筆者は願います。

部としての行動自粛のお願い

現状、部活としてのイベント・集会・合宿は禁じられており、その目安は「4人以上はだめ」としているものが多いようです。新型コロナウイルス感染症が十分に収束するまで(目安としては全都道府県での緊急事態宣言解除まで)の間、部としての活動を自粛するようお願いします。内容は以下の通りです。

・部員が60%以上を占め、かつ4人以上の集会・遠征・合宿を感染収束まで禁止します。

・個人活動や4人未満の集会・遠征・合宿は会としての活動と認めず、会は責任を負いませんが、できるだけヒトとの接触を避けるようお願いします。

(私事ですが、9月の博物ふぇすてぃばるも出店自粛しました by会長)