採集死にかけランキング(雙峰祭)

カテゴリー:コラム雙峰祭2021

投稿日 2021106

更新日 2021年10月6日

こんにちは、なりあです!プラナリアが大好きで伴侶となるプラナリアを日々探しています!最近はゲンゴロウや蛾も採集しながら勉強中です。

本記事では、私が採集中に「あ、死ぬかも」と生命の危機を感じた場面をご紹介します。反面教師としてみなさんの今後のフィールドワークに活かしていただけると幸いです。

 


死にかけランキング 第3位 : サトウキビへの落下

石垣島での出来事。ゲンゴロウを求めて、気の向くままに良さげな水溜りを探しているとサトウキビが生い茂っている向こうに気になる場所がありました。

2m以上あるサトウキビをかき分けて水溜りまで進んでいこうとしたその瞬間。ズザザザーと1mほど落ちていきました。落ちたというよりも、正確にはサトウキビに支えられながら下ろしてもらった、という感じでした。

もし下にもサトウキビがなかったら、かなり痛い落下になっていたところでした。サトウキビに感謝です。

 


死にかけランキング 第2位 : 底なしの泥炭地

泥炭地とは水分を多く含んだ真っ黒な泥が堆積した場所のことで、とても柔らかいため、いくらでも沈んでしまういわゆる底なし沼になっていることが多いです。

こちらは北海道のとある湖のほとり。一見するととても浅い川のように見えます。
しかし、この小川を渡って向こう岸に行こうと水網を川に刺した瞬間。

ずぶずぶずぶ…
水網がどんどん川に飲み込まれていきました。押し込めばいくらでも沈んでいきました。何も考えずに一歩踏み込んでいれば一巻の終わりだったでしょう。恐ろしい。
ここは人通りの少ない場所だったのでなおさら危険でしたが、もし周りに人がいたとしても助けるのは難しいかもしれません。泥炭地への対処法は入らないことしかありません。

低温で有機物が完全に分解されないことでできるらしく、北海道には他にもたくさん泥炭地がありました。本州の池や沼の底とは大きく違い、ものすごく重たかったです。

みなさんも北海道へ行かれる際はぜひ一度棒などで確かめてみてください。(絶対に入ってはいけません。)

 


死にかけランキング 第1位 : 川の満ち引き

大都会を流れる大きな河川の川沿いを歩いて採集していた時のことです。その川の横には大きな草原と森があり、森を横切って川に行くための道は半径数kmの内には一つだけしかありませんでした。

その道を降りて川に行くと、川岸には砂地が広がり、アライグマやタヌキの新しい足跡や、ミサゴの死闘の跡が残っていました。

こんな都会の真ん中にも自然が残っていることにわくわくしながら2時間弱遡上し、日没が近づいてきたのでそろそろ帰ろうと引き返し始めました。

しばらく行くと渡った覚えのないところに小さな水の流れができていました。川沿いを歩いているだけなので道を間違えるはずはありません。変だなと思いつつも記憶違いかと思ってさらに引き返していくと、さっきまであった背の高い枯れ草が水面から頭だけを出して水没している光景が目に飛び込んできました。

そこでようやく川の水位が上がったことに気づきました。なるほど、どうりで草が生えそうなところに砂地が広がっていた訳だ。この時すでに水位は膝上くらいまで上がっていました。こんなに増えてもなかなか気づかないものなんですね。

増水に気づいた頃にはかなり日が沈みかけていてさすがにやばいと思い、急足で帰りました。内心めちゃくちゃ焦りながらも、かっこいい生き物を見つけてしまうとどうしても見たくなってしまうのが生き物屋というもので、生き物を見つけて立ち止まっては我に帰り、急いで川の中を歩く、というのを繰り返していました。

しかし、いくら歩いても森を横切るための道が出てきません。知らないうちにかなり遠くまで来てしまっていたようで、2時間弱かけて進んだ道は戻るのに2時間弱かかることに絶望しました。2時間後には完全に真っ暗です。

森を横切る新たな道を探そうかと思いましたが、少し森に入ったところでたくさんのスズメバチと出会い、諦めました。周りが暗くなっていく中で水位も上がり、森の方はスズメバチ、水辺の方は流れと泥、というびっくりするほどの危機的状況を再確認し、しかし歩くしかないのでとにかく急いで水の中を孤独に進み続けました。かなり流れがあり、川に飲まれたら確実に死ぬなと思っていたので、途中で躓いて一部水没した時はヒヤッとしました。

歩く。歩く。日没に急かされていたメロスへの仲間意識が強まりつつ、水位上昇にも急かされているという点で勝ったような気持ちにもなりながらひたすらバシャバシャ歩きました。

そうこうしているうちにさらに数十分経ち、ようやく元の森への入り口に辿り着きました。

この時の安堵は忘れられません。水の高さは最終的に腰くらいにまで上がっていました。川の水なのか汗なのか分からない水分が森からの風に当たってひんやり気持ち良かったです。

こちらは川から脱出直後の写真です。本当に真っ暗になる直前でした。


以上、死にかけランキングでした。これ以外にも数々の死にかけイベントを経験しましたが、なんとか生きて帰ってこれているのは本当にありがたいことです。

本記事でみなさんに1番お伝えしたいことは、一人でフィールドワークに行かない、ということです。安全第一で採集していてもこれだけの危険があるのです。本当に安全には気をつけて、どうかフィールドワークを楽しんでください。