学生宿舎寄宿料値上げをめぐる全代会の取組と経緯

はじめに

2026年9月28日に、筑波大学は延期していた学生宿舎の寄宿料等の値上げを、2027年(令和9年)4月より実施することを発表しました。

全代会は2025年12月10日に突如として発表された2026年4月からの寄宿料値上げの発表に際して、2026年1月7日に本会議を開催し、①学生との合意形成、②値上げの延期、③経済支援策を講じることを求めることを決議して以降、これらの実施を大学に求めてまいりました。

全代会がこれまで行ってきた取組と、それによって得られたもの、今後の姿勢をお知らせいたします。

経緯と全代会の取組

全代会は、値上げが発表された翌日より、担当の生活環境委員会を筆頭に、学生部からの情報の収集と学生の意見の伝達を継続して行ってまいりました。寄宿料値上げが発表された12月10日のうちに全学生向けアンケートを開始し、実際に学生宿舎にお住まいの方を含む学生の意見を取りまとめました。

年明けには副学長(学生担当。以下同じ)・学生部長との意見交換を行い、1月7日に臨時で「令和7年度第8回本会議」を開催して要請を決議し、副学長に提出しました。要請は、学生との合意形成、値上げの2027年4月1日までの延期、経済的に困窮する学生への支援と周知の3点です。なお、令和7年度中には、大学が複数回にわたり、値上げの趣旨や金額の理由について学生に説明し、学生の疑問を聴取していました。

3月18日の定例記者会見で、永田学長が、値上げの実施時期を最長1年間延期すると発表しました。3月26日には、寄宿料改定の適用時期を「役員会が定めた日」からとすることがTWINS等で周知されました。この延期に対する全代会の受け止めは、以下の記事をご参照ください。

4月28日には、副学長から令和7年度第8回本会議に基づく要請に対して回答がありました。合意形成については全代会と連携して対話の場を設け、意見交換を進める方針であること、改定の適用時期については当初の「令和8年4月1日」から「役員会が定めた日」に変更されたこと、経済支援策については既存制度の活用を含め必要な措置を検討することが示されました。

その後、大学が動画配信、アンケート、個別傾聴、「全体対話」などを実施しました。6月2日の「全体対話」では、全代会は、対話内容の記録、大学側の回答が十分かの確認、議論が尽くされていない論点の整理という役割を果たし、副学長・学生部長に報告書を提出しました。「全体対話」における全代会の役割については、以下の記事もご参照ください。

また、7月に行われた学長と全代会構成員との懇談会において、アンケート等で示された課題を踏まえ、「学生宿舎 五十年の計」と題した提案を行いました。具体的には、従来の宿舎運営において学生の意見が反映されにくかった問題に着目し、学生が宿舎における重要なステークホルダーであるという考えに基づいて、学生と教職員による宿舎委員会(仮称)の設置と宿舎コミュニティの形成に向けた意見を述べました。この提案に対し、学長・副学長からは、いずれも実現に向けて前向きに調整を進めていきたいとの回答がありました。

9月28日に発表された寄宿料改定の適用時期に関するお知らせによると、最も利用者の多い一般単身者用(改修棟、春日宿舎を除く)は月額8,630円増の28,040円で、値上げは当初予定と変わらず全棟で実施されます。一方、昨年度の説明会などで指摘された、障害のある学生がバリアフリー環境の整った居室に入居する必要がある場合の寄宿料については、本来月額92,750円のところを本人支払額は月額51,980円とし、差額を大学が支援するという経済支援策が講じられました。

取組によって得られたもの

これらの取組を通じて、以下のような変化がありました。

  • 大学が、全学の学生を対象に、動画配信、アンケート、個別傾聴、「全体対話」といった意見聴取の場を設けました。
  • 学長決定等に定められた公的な学生の代表組織である全代会が、年3回の学長懇談会・副学長懇談会に加え、必要に応じて、副学長をはじめ大学の施策に関わる教職員に出席を求め、意見交換や議論を行えるようになりました。
  • 実務的な要望についても、担当部局と直接連絡や意見交換が可能なつながりを、これまで以上に形成することができました。

また、学生と教職員による宿舎委員会(仮称)の設置と宿舎コミュニティの形成の提案については、学生部と協働し、現在実施に向けて調整を進めているところです。10月12日(月・祝)には、アンケートで多くの学生が宿舎の居住環境に不満を持っていることが明らかになったことを受け、生活環境委員会により、宿舎を会場とし学生を巻き込んだイベントを開催しました。今後も継続して開催してまいりたいと考えております。

令和7年度 第8回本会議の決議内容を踏まえた大学の対応に関する見解

学生との合意の形成

本件における学生との合意の形成は、大学側による複数回の説明会、動画配信、「全体対話」、個別傾聴、アンケートなどを通じて、学生の意見を聴取する形で行われました。この際、全代会は、大学に対して問題と考えられる点や懸念を都度、指摘・共有することに注力してまいりました。

当初は大学による一方向の情報提供が中心であった状況でしたが、学生の意見を直接聴取する場を設けるに至り、過去の値上げの際にワークショップ(WS)の形で双方による合意形成が図られた時のような、かつての形に近づけることができました。この点は、今後の学生生活の充実に良い影響を与えられると考えております。

値上げの延期

大学は値上げの実施時期を最大で1年間延期し、2027年4月からとしました。これは、全代会が要請した2027年4月1日までの延期に沿うものであり、「寄宿料及び共益費の値上げに起因して退去する学生のための猶予期間及び学生との合意形成までの期間」が確保されたものと受け止めています。

経済支援策

バリアフリーの居室に入居するに足りる相当な理由がある学生に対して、寄宿料の支援措置が実際に講じられることとなった点を評価します。 一方、宿舎への入居の有無にかかわらず、学生向けの経済支援策には例年200件ほどの民間奨学団体等による奨学金が存在し(その例については、こちらをご覧ください)、なお一層の活用の余地があることが、学生部とのやり取りの中で明らかになりました。寄宿料の値上げによって居住場所が確保できなくなることがないように、経済的に困窮する学生がこれらの奨学金等の支援制度を活用して賄えるよう、大学からより繰り返し広報をするよう求めてまいります。

おわりに

全代会は、寄宿料等の値上げに際して、全学の総意として決議し要求した内容について、大学により一定の対応がなされたものと受け止めております。

今後も、大学の教育環境や生活環境に対する学生の意見を、教育生活環境調査等を通じて集約し、その必要性や内容を精査した上で、大学と必要に応じて意見交換や交渉を行ってまいります。また、今回の学生宿舎の寄宿料等の値上げに限らず、学生生活に大きな影響を及ぼしうる変更を行う際には、学生への適切な周知と情報共有を求めるとともに、実務的な協議を行い、その結果が学生生活へ還元されるような施策を、今後も引き続き求めます。その一方で、学生と教職員による宿舎委員会(仮称)の設置と宿舎コミュニティの形成の提案が実施に向けて動いていることは、大学としても学生との対話の重要性を再確認していることを裏付ける一例になると考えております。

全代会は、学生と大学をつなぐ役割を今後も果たしてまいります。